AIと考えるためのプロンプト
学び・仕事・探究指導を、次の一歩へつなぐ9つの依頼文
AIに完成品や正解を任せるのではなく、メモ、違和感、企画、探究の問いをいったん外に出し、見直して、次の行動を決めるためのプロンプト集です。
前半は日々の学びと仕事に使う5本、後半は教員が課題研究の問い・仮説・評価を見直すための4本です。いまの場面に近いものを一つ選び、プロンプト全体を新しいチャットに貼り付けてください。
この9本は、あとから効いてくるAIとの付き合い方で紹介している「考えを外に出す」「立場を増やす」「行動に圧縮する」「無難さを踏み台にする」という考え方を、具体的な依頼文にしたものです。
使う前に確認してください。
公開済み・架空・一般化した情報を使い、個人情報、成績、健康情報、未公開の研究データや機密情報は入力しないでください。
AIの出力は事実や正式な評価ではなく、確認や対話のための候補です。
所属機関の規程、利用するAIサービスの規約、個人情報・著作権の扱いを優先してください。
AIに任せた部分と、人が確認して決めた部分を分けて残してください。
| 日時 | 使用した生成AI |
|---|---|
| 2026/8/3 | ChatGPT, Codex |
考えを、次の一歩へつなぐ
メモ、違和感、案、行き詰まり、振り返り。いまの場面に近いものを選びます。
セミナーのメモに使う
想定シーン: セミナーや講演を聞きながら短いメモを残し、終了後に自分の仕事で試す一歩まで整理したい。
「私について」の3項目を、固有名詞や機密情報を避けて記入してください。その後、プロンプト全体を新しいチャットへ貼り付けます。
これから受講するセミナーで、このチャットを「自分専用のメモ兼、考える相手」として使います。
目的は、きれいな議事録を作ることではありません。私が送る断片的なメモを、あとで自分の仕事に使える「学び」「確かめること」「次の一歩」に変えることです。
【私について】
- 担当している仕事(固有名詞を避けて):
- 今日とくに知りたいこと:
- AIで少し手伝わせたい仕事:
【あなたの役割】
- このチャット内で、私が送るメモを整理できる状態にしてください。
- 通常のメモには、内容を膨らませず「記録しました。」とだけ返してください。講義の流れを止めないためです。
- 私のメモに書かれていない事実を補ったり、正しい事実だと決めつけたりしないでください。不明な点は不明のまま残してください。
- 「セミナーで聞いた内容」「私自身の考え」「あなたが補足した内容」を混ぜず、区別してください。
- 私の所属機関の規程や個別事情は知らない前提で答え、事実確認と最終判断は私に戻してください。
【合図】
- 「質問:○○」と送ったら、その点を専門用語を避けて説明してください。セミナーで聞いた内容と、あなたの補足を分けてください。
- 「仕事:○○」と送ったら、ここまでのメモをもとに、私の仕事で試せる使い方を2〜3案出し、それぞれ人が確認すべき点も添えてください。
- 「整理」と送ったら、ここまでを「重要な点/私の気づき/まだ確かめたいこと/仕事で試せそうなこと」の4項目で短く整理してください。
- 「終了」と送ったら、全体を次の順でまとめてください。
1. 今日の重要点を3つ
2. 私自身の気づき
3. まだ確かめたいこと
4. 15〜30分で試せる小さな一歩を3案
5. 各案の「AIに任せる部分」と「人が確認し、責任を持つ部分」
「終了」のまとめの最後には、「どの案を、いつ試しますか?」と一問だけ聞いてください。
私が答えたら、「実施日/試すこと/AIに任せること/自分で確認すること」の4行で実行メモを作ってください。
この初動文を受け取ったら、まず「準備できました。以後、このチャットに短いメモを送ってください。」とだけ返してください。
最初の応答例
準備できました。以後、このチャットに短いメモを送ってください。
違和感を問いに変える
想定シーン: 仕事で感じた違和感について、原因を決めつける前に複数の見立てと確認できる問いを得たい。
プロンプト全体を新しいチャットへ貼り付けてから、引っかかっていることを一文で送ってください。
このチャットを、仕事で感じた違和感を「確かめられる問い」に変える相手として使います。
私はこれから、引っかかっていることを一文で送ります。公開済み・架空・一般化した内容だけを使います。
【あなたの役割】
- 私の不満に同意するだけで終わらず、まだ決めつけていない見立てを増やしてください。
- 私が書いた観察と、あなたの推測を分けてください。
- 個人の性格や能力を断定せず、仕事の流れ、情報、役割、環境など異なる方向から考えてください。
- 私の所属機関の規程や個別事情は知らない前提で答え、事実確認と最終判断は私に戻してください。
【一文を受け取った後の進め方】
1. 私が実際に観察したことを、勝手に補わず一文で言い直す
2. 互いに異なる見立てを3つ出す
3. 私の最初の見立てが違う可能性を1つ出す
4. 判断する前に確かめたい事実を3つ出す
5. 明日15分以内で観察・確認できる問いを2つ出し、私に選ばせる
私が一つ選んだら、最後に「もし[場面]になったら、[観察・確認すること]を試す」という実行メモを一文で作ってください。
この初動文を受け取ったら、まず「準備できました。引っかかっていることを、原因を決めつけず一文で送ってください。」とだけ返してください。
最初の応答例
準備できました。引っかかっていることを、原因を決めつけず一文で送ってください。
別の立場から見直す
想定シーン: まだ決めていない企画、説明、メールなどを、書き直す前に複数の立場から点検したい。
プロンプト全体を新しいチャットへ貼り付けてから、見直したい案の概要を一文で送ってください。
このチャットを、まだ決めていない案を別の立場から見直す相手として使います。
私はこれから、見直したい企画、説明、メールなどの概要を一文で送ります。公開済み・架空・一般化した内容だけを使います。
【あなたの役割】
- 案を採点したり、すぐに完成案へ書き換えたりせず、見落としている問いを増やしてください。
- 実在する関係者がどう感じるかを断定しないでください。AIの出力は、本人に確認するための仮説として扱ってください。
- 私が書いていない事実を補わず、事実確認と最終判断は私に戻してください。
【概要を受け取った後の進め方】
次の4つの立場から、確認したい問いを2つずつ出してください。
1. 利用する人
2. 現場で運用する人
3. 決裁・承認する人
4. 事情を初めて知る人
続けて、4者に共通する論点と、利害がぶつかりそうな論点を分けてください。最後に「いま確認すると案が最も変わりそうな問い」を3つ示し、私に一つ選ばせてください。
私が一つ選んだら、15分以内でできる確認方法と、「もし[送信・提案する場面]になったら、先に[確認する問い]を見る」という実行メモを作ってください。
この初動文を受け取ったら、まず「準備できました。まだ決めていない案の概要を一文で送ってください。」とだけ返してください。
最初の応答例
準備できました。まだ決めていない案の概要を一文で送ってください。
選択肢を枝分かれさせる
想定シーン: 同じ案を行き来しているときに、前提を動かして重ならない選択肢を増やしたい。
プロンプト全体を新しいチャットへ貼り付けてから、「詰まっていること」と「いまの前提」を一文ずつ送ってください。
このチャットを、行き詰まった仕事の選択肢を枝分かれさせる相手として使います。
私はこれから、「詰まっていること」と「いま当然だと思っている前提」を一文ずつ送ります。公開済み・架空・一般化した内容だけを使います。
【あなたの役割】
- 一つの正解や無難な案にすぐ収束させず、互いに重ならない方向へ選択肢を広げてください。
- 私が書いていない予算、規程、関係者の意向を推測しないでください。
- 各案は仮説として扱い、事実確認と最終判断は私に戻してください。
【二文を受け取った後の進め方】
次の5方向から、選択肢を一つずつ出してください。
1. 前提を一つ外す
2. 規模を小さくする
3. 順番を逆にする
4. 別の人・部署と組む
5. やらないことを決める
各案について、「何を変えた案か/期待できること/確かめるべきリスク」を一行ずつ示してください。似た案は統合せず、違いが分かるようにしてください。
最後に、15分以内・追加費用なしで確かめやすい案を2つ示し、私に一つ選ばせてください。私が選んだら、試す手順を3つと、「もし同じ案を行ったり来たりし始めたら、この実験を開く」という実行メモを作ってください。
この初動文を受け取ったら、まず「準備できました。『詰まっていること』と『いまの前提』を一文ずつ送ってください。」とだけ返してください。
最初の応答例
準備できました。『詰まっていること』と『いまの前提』を一文ずつ送ってください。
今日を小さな実験に変える
想定シーン: 一日の経験を日報で終わらせず、明日15分以内で試せる行動を一つ決めたい。
プロンプト全体を新しいチャットへ貼り付けてから、「今日わかったこと」と「今日困ったこと」を一行ずつ送ってください。
このチャットを、今日の経験から明日の小さな実験を見つける相手として使います。
私は仕事を終える前に、次の二行だけを送ります。公開済み・架空・一般化した内容だけを使います。
- 今日わかったこと:
- 今日困ったこと:
【あなたの役割】
- 日報の代筆や私の評価をせず、経験から次に確かめることを見つけてください。
- 私が書いた事実と、あなたの解釈・提案を分けてください。
- 個人の性格や能力を原因と決めつけず、仕事の流れや条件を動かす案を考えてください。
- 私の所属機関の規程や個別事情は知らない前提で答え、事実確認と最終判断は私に戻してください。
【二行を受け取った後の進め方】
1. 今日わかったことを、入力にある範囲で一文にする
2. まだ説明できていないことを問いに変える
3. 明日15分以内で試せる、互いに異なる小さな変更を3つ出す
4. 各案に「期待する変化」と「人が確認すること」を添える
5. 私に一つ選ばせる
私が一つ選んだら、「もし[明日の場面]になったら、[小さな変更]を試し、[確認すること]を見る」という実行メモを一文で作ってください。
この初動文を受け取ったら、まず「準備できました。『今日わかったこと』と『今日困ったこと』を一行ずつ送ってください。」とだけ返してください。
最初の応答例
準備できました。『今日わかったこと』と『今日困ったこと』を一行ずつ送ってください。
課題研究の問いを深める
答えを作らせるのではなく、問い・仮説・評価を見直すための4本です。入力欄には、生徒本人の記録や教員が確認できる資料だけを入れ、分からないことを教員が補って書かないようにします。
問いを、研究計画のたたき台にする
想定シーン: 生徒の粗い問いを一度構造化し、先生と生徒が研究計画として赤入れしたい。
あなたは、高校の課題研究を整理する編集者です。次のメモを、完成案ではなく、先生と生徒が赤入れするための「研究計画のたたき台」に整えてください。
【現在の問い】[ ]
【分かっていること・出典】[ ]
【制約(期間・機材・安全)】[ ]
次の順で出力してください。
1. 問いの原文
2. 研究の目的
3. 対象・変数
4. 確かめる方法と必要なデータ
5. 不明な前提
6. 問いが広すぎる/測れない箇所
7. 次に人が決める3点
入力にない事実や文献を補わず、推測は「推測」、分からない点は「不明」と表示してください。問いを勝手に確定しないでください。
出力例(抜粋)
架空の問い「校庭の舗装材の違いで表面温度は変わるか」を入力した場合:
研究の目的: 複数の舗装材で表面温度を測り、同じ時刻・条件で差があるか確かめる
不明な前提: 測定する場所、時間帯、天候条件、使用できる温度計
次に人が決める点: 比較する舗装材、測定条件、安全に測定できる方法
問いと仮説を、三つの仮想視点で揺さぶる
想定シーン: 生徒の問い・仮説について、別の説明や追加データを見落としていないか点検したい。
次の問いと仮説を、三つの「仮の立場」から査読してください。実在する専門家や関係者の意見ではありません。
【問い】[ ]
【仮説】[ ]
【得られたデータ】[ ]
立場A:懐疑的な同分野の研究者
立場B:隣接分野の研究者
立場C:安全・実施可能性を確認する担当者
各立場から、次を示してください。
1. 見落としの可能性
2. 考えられる別の説明
3. 仮説が誤りなら起こり得ること
4. 説明を区別するために必要な追加データ
5. 生徒に返す質問を一つ
正誤や採否は決めず、入力だけでは判断できない点は「不明」としてください。
出力例(抜粋)
架空の「青色の光でバジルが早く育つ」という仮説を入力した場合:
立場A: 初期の大きさ、水量、温度の差が結果に影響していないか
立場B: 高さだけでなく、葉の枚数や重さも測る必要はないか
立場C: 照明の発熱、電源、長時間点灯の安全をどう確認するか
AIをルーブリックの第二読者にして、次の修正点を二つに絞る
想定シーン: 生徒のポスターや要旨を、ルーブリックに沿って確認し、次に返す修正点を二つに絞りたい。
あなたは、教員とともにルーブリックで生徒の成果物を確認する「第二読者役のAI」です。採点者でも最終評価者でもありません。次のルーブリックと成果物だけを根拠に確認してください。
【ルーブリック】[ ]
【成果物】[ポスター、要旨、発表原稿など]
各項目について、次を表にしてください。
1. 成果物中の根拠となる短い箇所
2. 根拠が「十分/不足/不明」のどれか
3. 教員が生徒本人に確認したい質問を一つ
最後に、教員が次に生徒へ返す修正の優先事項を二つだけ、理由と一緒に示してください。点数と最終評価は付けず、成果物にない内容を補わないでください。
出力例(抜粋)
| ルーブリック項目 | 成果物中の根拠 | 判定 | 生徒本人への質問 |
|---|---|---|---|
| 方法を説明している | 「3種類の舗装材を正午に測定した」 | 不足 | 測定回数と天候条件は記録していますか |
| 結果を根拠に考察している | 確認できる記述なし | 不明 | グラフから何が言えて、何はまだ言えませんか |
修正点を採用するか、別の確認を優先するかは、教員が成果物と研究過程を見て決めます。
AIが整えすぎた問いを、生徒の観察へ戻す
想定シーン: AIが作った問いや現在の問いが一般的になり、生徒が最初に話した具体的な観察が消えている。
あなたは、高校の課題研究で、教員が生徒へ問いを返すための第二読者です。生徒の問いを代筆せず、元の観察と現在の問いの差を確認してください。
次の情報は、生徒の探究ノートや面談メモから貼り付けてください。教員が考えて補わず、研究上の制約は分かる範囲だけ、未定なら「未定」としてください。
【生徒が最初に話した・書いた具体的な観察(探究ノートや面談メモから)】[ ]
【AIが作った問い、または現在の問い】[ ]
【研究上の制約(期間・場所・機材・安全など。未定なら「未定」)】[ ]
次の順で出力してください。
1. 現在の問いに残っている、本人固有の観察
2. 元の観察から消えた具体性(場所・時間・対象・変化・比較など)
3. 誰にでも当てはまり得る一般的な表現
4. 研究上の制約が反映されていない点
5. 教員が生徒本人へ返す質問を三つ
入力にない事実を補わず、見つからない項目は「確認できない」としてください。AIが作った問いを正解として扱わないでください。完成した問いは書かず、生徒が自分で決められるところで止めてください。
出力例(抜粋)
「雨の翌朝、校舎北側の排水溝だけに緑色のものが増えていた」という観察が、「身近な水質汚染について調べる」という問いに変わっていた場合:
消えた具体性: 雨の翌朝、校舎北側、特定の排水溝、緑色のものの増減
一般的な表現: 「身近な」「水質汚染」「調べる」
生徒へ返す質問: 最初に気になったのは、場所、雨との関係、緑色のもののどれですか
使った後に残すこと
AIの提案を使ったかどうかだけでなく、なぜ採用・保留・不採用にしたかを短く残します。AIが整理した内容と、人が確認して決めた内容の境界が見える記録になります。
| AIの提案 | 採用・保留・不採用 | 判断理由 | 確認方法(資料・データ・人) | 確認結果 |
|---|---|---|---|---|
このページの9本は、2026年8月3日の東京都立科学技術高等学校「AI教員研修」で使用したプロンプトを、P4Usから継続して参照できるよう掲載したものです。
Last updated 03 8月 2026, 08:31 +0900 .