利用者から生成AIへのの指示、プロンプトを扱うための技術は「プロンプトエンジニアリング」と呼ばれています。

ここでは様々な論文や書籍、Webサイトで紹介されてきたプロンプトの原則を3つ紹介します。

日時このページで使用した生成AI
2024/1/20ChatGPT(GPT-3.5)

🌞 明確な指示を出す


指示が明確ではないと生成AIの回答の質は低下します。
回答の質は「利用者が求めている生成物かどうか」なので、きちんと利用者の目的・意図を伝えましょう。

次のプロンプトは悪い例です。

  システムメンテナンスの告知文つくって
  

一見すると丁寧に長い文章を作ってくれたように見えますが、利用者の目的・意図が分からないので、回答も抽象的です
より明確な指示を心がけた例と比較してみましょう。

  あなたはWebシステム運用のスペシャリストです。
以下の文脈と要件に従って、利用者向けの告知文を作成してください。
 
### 文脈 ###
運用している[WebシステムA]の「XXX」項目内にある機能「YYY」を廃止する。
理由は、学術論文データベースである[DB-W]が今まで使用していたSOAP APIが20XX年12月31日で終了し、RESTAPIに移行するため。
よって12月24日を以って「YYY」は使用不可となる。
 
### 条件 ###
* 「[WebシステムA]をいつもご利用いただきありがとうございます。」から始める
* 最初から最後まで丁寧な言い回しを心がける
* 告知文は日本語で400文字程度とする
  

きちんと要件を書くことで、利用者の目的・意図に沿った回答が生成されました。
また構造的に指示を出すと精度が向上することも明らかになっています。

具体的に、明確な指示を出す方法をいくつかあげます。

- 条件を指定する

プロンプトでは最初から最後まで丁寧な言い回しを心がけると指示していました。
このように回答に影響を与える条件を指定することができます。
他にも「高校生にでも伝わるように」「組織の執行部向けです」なども考えられます。
フィルターをかけるように、自分が望む生成物に近づくような条件を指定しましょう。


- 出力形式を指定する

プロンプトでは告知文は日本語で400文字程度とすると指示していました。
そのほか、「テーブル形式で」「箇条書きにして」などの指定が可能です。
他の出力形式の例は基本的なマークダウン記法をご参照ください。


- 具体的な情報を入力する

プロンプトでは
運用している[WebシステムA]の「XXX」項目内にある機能「YYY」を廃止する。
理由は、学術論文データベースである[DB-W]が今まで使用していたSOAP APIが20XX年12月31日で終了し、RESTAPIに移行するため。
よって12月24日を以って「YYY」は使用不可となる。 と指示していました。
極めて重要なので、次のセクションで説明します。


以上のポイントをおさえ、明確な指示を出すためのプロンプトテンプレートもあります。
代表的なテンプレートを紹介しますので、ぜひご活用ください。

テンプレート

  # 命令書:
あなたは{プロの編集者}です。
以下の制約条件と入力文をもとに{最高の要約}を出力してください。

# 制約条件:
- 文字数は300文字程度。
- 小学生にもわかりやすく。
- 重要なキーワードを取り残さない。
- 文章を簡潔に。

# 入力文:
{入力文章}

# 出力文:
  

参考:


📗 具体的な情報を入れる


具体的な情報も回答の質と精度を上げるためには重要です。
この「情報」にはドメイン知識も含まれます。

利用者が持ちうる情報やデータを提供するほど、利用者の目的・意図に沿った回答が返ってくる傾向にあります。

都職員のアイデアが詰まった文章生成AI活用事例集より、「職場で他の職員に説明する際の、資料のドラフト」を作るプロンプトを例に説明します。
(「見出しは#### からはじめてください」は私が追記しています)

  # 役割
優秀な企画者

# 指示
DX推進に消極的な職員が前向きに取り組めるようなDXのメリットを説明する資料を作成してください。

# 資料の活用場面
必ずしも全員がデジタルテクノロジーに詳しくない事業所において、DX推進を効果的に進める方法を説明する。

見出しは#### からはじめてください
  

ポイントは、プロンプトの中に必ずしも全員がデジタルテクノロジーに詳しくない事業所において、DX推進を効果的に進める方法を説明する。 という具体的な場面を説明していることです。
他にも「去年○○という理由でDX推進を失敗してしまった経緯がある」や「企画を説明する相手は特にDXのメリットとデメリットがわかっていない」といった実際の文脈をプロンプトに追加すると回答の精度や品質が挙がります。

生成AI利用の限界と課題でも触れましたが、生成AIの回答には誤りがバイアスが含まれている場合があります。
その悪影響を少しでも減らすために、具体的な情報の入力を心がけましょう。


良いプロンプトの基本原理は「明確かつ具体的に」です。

他のプロンプトエンジニアリングや良いプロンプトの方針はここに追記するか、応用編に記載します。

Last updated 02 2月 2024, 18:59 +0900 . history