AIエージェントとタスク設計
AIに仕事を任せるための考え方
AIエージェントとは、AIが自ら考え、ツールを使い、複数のステップを踏んでタスクを遂行する仕組みです。 このページでは、エージェントに仕事を任せるときの考え方を紹介します。
AIエージェントの技術的な仕組みについては生成AIとツールの連携をご覧ください。 このページでは「利用者としてどう向き合うか」に焦点を当てます。
| 日時 | このページで参考にした情報 |
|---|---|
| 2026/2/14 | Claude |
🔄 プロンプトからタスク設計へ
プロンプトの現在地で述べたように、AIの活用は「一問一答」から「タスクの委任」へと広がっています。
従来のプロンプトは「AIにどう答えてほしいか」を指示するものでした。
以下の文章を要約してください。箇条書き3点で、フォーマルなトーンにしてください。
エージェント的な使い方では、「AIに何を達成してほしいか」と「どこまで任せるか」を設計します。
来週の学部長会議の準備をしてほしい。
前回議事録(添付)を踏まえて、今回のアジェンダ案を作成して。
審議事項と報告事項は分けること。
各議題に想定所要時間も入れて。
不明点があれば質問して。
後者では、AIが自分でファイルを読み、構造を考え、不足情報を質問するという複数のステップを踏みます。利用者は手順ではなくゴールを伝え、AIに判断の余地を与えています。
これはAIとの付き合い方で紹介した「壁打ち相棒」の考え方を、さらに一歩進めたものです。
📐 エージェントに任せるときの3つの原則
エージェント型の活用で大切なのは、任せ方の設計です。以下の3つの原則を意識しましょう。
- 1. 目標を明確にする(手順ではなくゴールを伝える)
手順を一つひとつ指示するのではなく、達成したいゴールを伝えます。AIはゴールに向けて自分でステップを組み立てます。
手順指示型: 「まず前回の議事録を読んで、次に今回の議題を箇条書きで列挙して、その後それぞれに所要時間を割り当てて…」
ゴール指示型: 「前回議事録を踏まえた今回のアジェンダ案を作って。審議事項と報告事項を分け、各議題に想定所要時間を入れて。」
- 2. 境界を設定する(AIができること/できないことを決める)
AIに任せる範囲を明確にします。「何を変えていいか」「何を変えてはいけないか」を伝えることが重要です。
大学業務の例: 「入学者データの傾向分析と可視化はAIに任せるが、分析結果の解釈と報告書への最終記述は私が書く。データの加工・集計まではAIに任せてよいが、個人が特定できる情報は扱わないこと。」
- 3. 確認ポイントを設ける(人間レビューを組み込む)
複数ステップのタスクでは、途中で確認するポイントを設けます。最後まで一気に任せるのではなく、方向性を確認しながら進めるのが安全です。
確認ポイントの例: 「まず分析の方針案だけ出して。方針を確認してからデータの加工に進んで。」
🏫 実践例
- 例1: 会議の準備をAIに任せる
来月のFD委員会の準備を手伝ってほしい。
【ゴール】
委員会のアジェンダ案、配布資料の構成案、議事録テンプレートの3点を作成する。
【インプット】
- 前回の議事録(添付ファイル)
- 今年度のFD活動計画(添付ファイル)
【境界】
- アジェンダの議題案はAIに出してもらうが、最終的な議題は私が決める
- 配布資料の中身は作らなくてよい。構成(見出しと概要)だけでよい
【確認ポイント】
まずアジェンダ案だけ出して。確認してから次に進む。
このプロンプトは、プロンプト集:会議支援にある個別のプロンプトを「タスク設計」として統合したものです。ゴール・インプット・境界・確認ポイントが明示されています。
- 例2: データ分析レポートの作成
今年度の入学者データの分析レポートを作成したい。
【ゴール】
学部別の入学者数推移、男女比の変化、入試方式別の構成比を可視化し、
傾向をまとめたレポートの素案を作る。
【インプット】
- 過去5年分の入学者データ(添付Excel)
【境界】
- グラフ作成と数値の傾向記述はAIに任せる
- 「なぜこの傾向が生じたか」の解釈は私が書くので、空欄にしておく
- 個人が特定できる粒度のデータは出力しない
【確認ポイント】
まずデータの読み取り結果を確認させて。正しく読めていたらグラフ作成に進んで。
このような使い方はプロンプト集:IR・データ分析の発展形です。
⚠️ エージェント利用の注意点
エージェント型の活用は便利ですが、従来の「一問一答」以上に注意が必要な面もあります。
AIが複数のステップを自律的に進めるため、途中経過を見逃しやすい:必ず確認ポイントを設けること
AIの判断が積み重なる:1ステップごとの小さな判断ミスが、最終結果に大きく影響することがある
責任の所在は変わらない:どれだけAIに任せても、最終的な判断と責任は利用者にあります
詳しくは生成AIの限界と課題もあわせてご確認ください。
🔑 まとめ
エージェント型のAI活用は、AIとの付き合い方で紹介した「壁打ち相棒」の究極の形ともいえます。
- ゴールを伝え(何を達成してほしいか)
- 境界を設定し(どこまで任せるか)
- 確認しながら進める(人間の判断を挟む)
この3つの原則は、プロンプトを書くときにも、エージェントにタスクを任せるときにも、そして日常の業務で誰かに仕事を頼むときにも共通する考え方です。
AIの能力がどれだけ上がっても、「何を頼むか」を考えるのは人間の仕事です。タスク設計とは、その「頼み方」をより丁寧に、より構造的に行うことにほかなりません。
Last updated 15 2月 2026, 08:46 +0900 .